ならまち露地に飛ぶ鳥 (unbuild)
店舗+茶室+店主住宅の複合建築。敷地にあった大木キンモクセイと井戸を活かした露地を作庭。露地を中心に母屋と離れを分棟配置している。母屋2階から突き出した風呂場とコーナーのひらかれた茶室は、露地と親密に絡み合いながら独自の空間を創り出すだろう。自然光を受け表情を変える露地がこの建築のファサードになり人々をこの建築に誘う。職住を共にする暮らしでは、日々絶えず変化する季節のうつろいを身近に感じてもらいたい。露地は刻々と姿を変えながら店主と共に時を刻むだろう。1300年超の歴史をもつ「ならまち」。自然と歴史を感じながら過ごす至極の人生をクライアントに捧げるべく空間を構成した。建築の中心にはクライアントの大好きなインゴマウラーのBirds Birds Birds。古都ならまちの露地に鳥達が自由を求め飛び立つ姿を想像している。
後年、着工を見たものの施主の横井さんに癌が見つかり施工は中止。その後、横井さんは亡くなってしまった。62歳。早過ぎた。僕達は癖のある横井さんはいつも着物を着てならまちを闊歩してください。キャラ立てて行きましょう。とか、ビル名をchakasにしようと言っていた。それはなんでも皮肉を言ったり茶化す横井さんのキャラクターをポジティブに捉えるものだったし、茶人であり、プロダクトのセレクトショップを経営運営する横井さんはなんでもお茶に見立てて生きていく先輩の晴れの姿を見ていた。僕は竣工写真をインゴマウラーに送りつけようと目論んでいた。でもインゴマウラーも横井さんもいなくなってしまった。ならまちに夢を見て飛び立った横井さんはきっと向こうでインゴマウラーに会って、つまらない冗談でも言って失笑を誘っているに違いない。
何者でもない僕に設計を依頼してくれた最初のお施主さん。横井さん。
またいつか飲みましょう。
模型:ひとともり
スケッチ:ひとともり
